美容外科を訪れる方の数は増大しています。ある方は身体の一部に修正を加え、ある方は加齢に伴う変化を改善するためにいろいろな美容外科手術を受けています。これらの方々に自信を与え、仕事や生活の上で役立ち、若さを保つために美容外科は役立っています。
脂肪吸引はお腹、お尻、大腿、腕、首、顎の下などに余分にたまった脂肪を、カニューレと呼ばれる細い金属の管を通してバキュームで吸い出す手術です。
姿見の中のあなたの体型が「締まりがない、ボテボテしている、この脂肪この贅肉が無くなったらいい」と思われる時が脂肪吸引の時期でしょう。
ここで大切なことがあります。それはこの方法が肥満の治療法としては、ある意味非現実的ですし、体重を目立つほど少なくする目的にも適していません。一度に大量の脂肪を吸引することは生命の危険を伴います。またこの方法によって、セルライトをすべて消失させようとするのは非現実的な期待です。
受診に際してあなたの希望や期待をあなたの先生に率直に相談して下さい。先生はあなたにとって脂肪吸引が適しているのか否かをお話しすると思います。そして例えば、お腹の皮膚があまりにも余っていて皮膚に緊張が少ない場合には、皮膚も含めて切除する手術をお話になるかもしれません。
予定される脂肪の吸引の量や施行される面積の大きさなどを勘案して、局所麻酔、または全身麻酔で脂肪吸引は行われます。吸引される脂肪層に対しては、通常生理食塩水に少し薬を加えた溶液を充分にするTumescentが施された後、場合によると体外照射型の超音波などを用い、小さな切開創からカニューレを挿入しバキュームを用いて吸引していきます。この時、バキュームの先に超音波装置(ウォーターメス)が付いている場合もあります。
術後ガーメントと呼ばれるかなり弾力性に富んだ下着を着用して頂くことが普通です。また手術直後ですと、これに加えて少し丈夫な包帯が巻かれていることがあります。このガーメントは通常2~3ヶ月装着していただきます。
吸引される脂肪の量にもよりますが、この手術は日帰り手術としても、また数日入院しながら行うこともあります。
吸引された部分に内出血斑が出たり腫れたりすることはよくあることです。これらは1~2ヶ月で解消されていきます。吸引された部位に多少の不規則なしこりのようなものを感じますが、この部分の皮膚が緊張を取り戻していくにしたがって次第に平坦化していきます。
過度の量の無理な脂肪吸引は、脂肪塞栓や静脈血栓をつくる危険があります。これらは生命に重大な転機をもたらすことがあります。
脂肪吸引が最も適しているのは正常な体重を少し上回る方、もしくはエクササイズやダイエットに成功し、それでも残る局所の脂肪を吸引しようとされる方が最もこの手術に適しています。このような方であれば脂肪吸引によってかなり理想的な体型を取り戻せるでしょうし、吸引された脂肪層の上の皮膚は適度な緊張を回復していくことになります。
皮膚がひどく緩んでいる場合には、この方法だけでは効果は不十分に終わります。
脂肪吸引をするためには小さな切開、あるいはむしろ穴と表現した方がいいような小さな切開部から脂肪吸引が行われますからこの傷跡は残ることになります。ただしはじめからあまり目立たない所にこれらの切開が加えられることや、どんなに大きくても1㎝、多くは5㎜程度の小さな傷跡ですからさほど気にならないと思います。
多くの方は1週間程度で正常な生活に戻れると思います。少量の脂肪吸引であれば次の日からでも通常の生活が送れるはずです。脂肪吸引によって得られた体型を保持するために、また脂肪吸引部を柔らかくするために、超音波やエンダーモロジーのような、脂肪層に対する理学的療法や全身のケアをお受けになることはとても良いことです。
脂肪吸引自体はカニューレと呼ばれる細い管を通じて行われます。手術操作としてはカニューレを脂肪層の中で指導的あるいは機械的に前後に動かしながら、掃除機でゴミを吸い出すように脂肪を吸引していくのですが、より積極的に脂肪層をウォータージェットメスや超音波で吸引され易い状態にして吸引する方法も紹介されています。超音波法では脂肪層にやけどが生ずるといった欠点も報告されていますが、広範な脂肪吸引を行う例では利点も多いという報告もあります。ウォータージェット法は比較的新しく導入された方法です。水の力で脂肪細胞同士の結合を緩め、吸引しやすい状態にしてから吸引を行うので、愛護的な吸引だと主張されています。方法の選択はあなたの状態や希望にもよりますので、担当の先生と相談して下さい。